メタバースは、従来のバーチャル空間より現実空間と密接となった活動、行動ができることで話題となっています。そのひとつが、メタバースの中で販売、働くなど稼ぐための行動ができることです。メタバースはコミュニケーションの場だけでなく、副業のツールとしても注目されています。この記事では、メタバースの副業とは何か、具体的な方法に加えて必要な準備や成功させるためのコツを解説します。
この記事でわかること
経済活動ができるメタバースは副業も可能
以前よりネットワーク上に構築された3次元のバーチャル空間(仮想空間)で活動ができるソーシャルゲームやオンラインゲームはリリースされていました。従来のバーチャル空間とメタバースには、経済活動ができるかどうかの違いがあります。
従来のバーチャル空間は、バーチャル空間で動く、戦うなどのユーザーの自己的な動作が主体で、コミュニケーションも他のユーザーとのテキストやボイスチャットによる会話が中心でした。メタバースはさらに現実世界をまたぐ体験ができるようになったのが特徴です。メタバースにはリセットやサービス終了はなく、メタバースの世界がずっと続き、より幅広いコンテンツが体験できます。イベントへの参加、さらに物の売買、労働などのメタバース上での経済活動も可能です。メタバースを体験する目的も人それぞれで異なり、経済活動によってお金を稼ぐ、副業にメタバースを活用する人もいるでしょう。
メタバース内でできる副業7選
メタバースでは、物を販売する、自分自身のアバターが労働するなど、いろいろなお金を稼ぐための手段があります。2022年6月現在のメタバースでできる副業の内容と方法を、注意点とともに紹介します。
メタバース内の土地を運用する
メタバース内で土地をNFTとして販売しているプラットフォームを選び、お金を稼ぐ方法です。安く購入した土地を高く売る、土地に建築物を建てて賃貸物件にする、土地に店舗やゲームを設置して運営して稼ぐ、土地と建物をセットで売る、土地をイベント用のレンタルスペースとして貸し出すなどの手段があります。一度購入すれば安定した収入が見込める可能性がある一方、初期投資が高いことや、購入した土地が暴落する可能性に注意しましょう。
▼メタバースの土地については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
メタバースゲームで稼ぐ
メタバースゲームの中には、ゲーム内で獲得したお金やポイントを仮想通貨へ換金できるものがあります。遊びではなく、稼ぐためにゲームをする「Play-to-Earn」をメタバースゲームで実現し、副業とする方法です。ゲームが好きな人や、すきま時間でコツコツ稼ぎたい人などに向いているでしょう。ただし、ゲームによっては初期投資が高い、日本語に対応しているゲームが少ないなどに注意が必要です。
▼メタバースのゲームについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
NFTアイテムやアートのせどりで稼ぐ
メタバース内で使用できるNFTアイテムやアートを購入し、購入額より高く売ることでお金を稼ぐ方法です。せどりや転売とも呼ばれています。NFTはデータの複製ができないため、希少性の高いデジタルコンテンツとしてやりとりができます。
現実世界でもせどりや転売を副業として行っている人もいますが、メタバースのせどり対象はデジタルアイテムのため在庫管理がより簡単にでき、輸送の必要がないため日本と海外とのやりとりもスムーズにできるのがメリットです。初心者でも気軽にはじめやすいでしょう。一方、アイテムの仕入れのための初期費用が必要、高く売れるとは限らないため購入するアイテムの見極めが難しい、気軽にはじめられる分競合も多い、などの点に注意しましょう。
▼メタバースのNFTや稼ぐ方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
メタバース内にゲームを作る
メタバースゲームをプレイするのではなく、メタバース内に自分でゲームを作って稼ぐ方法です。ゲームをプレイするためのプレイ料金や、プレイワールドに入るための入場料を設定する方法と、自分で作ったゲームをコンテストに応募して賞金を稼ぐ方法があります。人気ゲームとなれば安定した収入が得られる一方、プレイワールドを構築するために土地を購入する資金が必要、ゲームを開発するためのスキルが必要です。
NFTアイテムやアートを制作して販売する
メタバース内で使用できる新しいNFTアイテムやアートを自分で制作して、ゲーム内やNFTマーケットプレイスで販売する方法です。アバターやアイテム、アートを制作できる技術を持っていれば、副業のメタバースのクリエイターとしても活躍できます。販売数を多くして安く売る、付加価値の付いたアイテムを限定的に生産し、高く売るなどいろいろな方法があります。
メタバース内で働く
メタバース内でアルバイトなどで働いてお金を稼ぐ方法です。代表的なものに「アバター接客」があります。企業のイベントや展示会などに参加したユーザーに対して、商品やサービスの説明、イベントの案内をアバターを介してチャットなどで行う仕事です。アルバイトなので当然報酬が得られます。
仮想空間専用求人サイト「メタジョブ!」などでメタバース内の求人探しができます。アバターを介しての接客のため、自分の顔を出さずに働けるのがメリットです。一方で、仮想空間上でも接客スキルやマナーなどが求められます。
メタバース内でイベントやライブ配信を行う
ライブ配信アプリの中には、「REALITY」のようにメタバースでのライブ配信に対応しているものもあります。アバターを使ってイベントやライブ配信をメタバース内で開催し、お金を稼ぐ方法です。入場料を設定する、ライブ限定のアイテムを同時に制作、販売するなどで収入を得られます。
現実世界で行うメタバースの副業4選
自分がメタバース内で活動して行う副業だけでなく、現実世界でのメタバースに関連した副業もあります。
メタバース関連のエンジニア、デザイナーの仕事を見つける
UnityやUnreal Engine、Blenderなどのソフトが使えるスキルがあるなら、メタバース関連のエンジニアやグラフィックデザイナーとして副業をする方法があります。当然プログラミングやデザインなどの知識やスキルが必要です。
▼メタバースに関して必要となるスキルや開発、作り方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
NFTレンタルの分配で稼ぐ
NFTレンタルとは、他のユーザーに自分のNFTを貸し付ける方法です。NFTデリゲーションやスカラーシップとも呼ばれます。以下の3つのステップで、NFTレンタルを収益化できます。
・メタバースゲームを始めたくても初期費用となるNFTを持っていないユーザーに対して、初期費用として自分の持つNFTを貸し付ける
・NFTを借りた人は初期費用なしでメタバースゲームを始め、ゲーム内で報酬を得る
・NFTを借りた人が得た報酬をNFTを貸した人へも分配する
自分がゲームをしなくても他のユーザーが稼いできてくれる、貸し付けをしたNFTの種類によっては値上がりが期待できるなどのメリットがあります。一方貸し付けをしたユーザーがあまりゲームをしないなどで思ったより稼げないこともあるでしょう。ほかにも初期投資が必要、海外ユーザーとのやり取りは英語必須などの点に注意が必要です。
メタバース関連の情報を配信する
自分自身のメタバースでの体験や活動を、YouTubeやnote、ブログ、SNSなどで動画やテキスト、画像として配信する方法です。興味を持ったユーザーから動画を再生される回数、広告などで収益が得られます。ただし動画の場合は制作へのハードルがやや高くなる、テキストの場合は情報の量や質も求められる、多くのユーザーに閲覧してもらうためのSEO対策なども必要です。
メタバースやNFTの関連銘柄に投資をする
メタバースに自分自身が触れなくても副業として稼げる方法もあります。メタバース企業やメタバースに関連する商品やサービスを展開している企業、NFT銘柄などに株式投資、暗号資産投資、NFT投資などをする方法です。ただし、リスクもあるためしっかりとリサーチしたうえで投資する銘柄を見極めるのが重要となります。
▼メタバースの関連企業、株式、銘柄については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
メタバースでの副業に必要な準備
メタバースの副業を始めるために必要な準備を解説します。
メタバースのプラットフォームを決める
副業をするメタバースのプラットフォームを決めましょう。2021年から徐々に人気の出ているプラットフォームとして「VRChat」」や「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」などがあります。
ただしプラットフォームによってはNFTのやりとりが禁止されているところもあります。自分がこれからやりたい副業に合っているプラットフォームを見つけるのが重要です。無料版を体験してみるなどして、副業のできるプラットフォームやサービスを探しましょう。
▼メタバースのサービス、プラットフォームについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
日本国内の仮想通貨取引所の口座を開設する
土地やアイテムの売買など、メタバース内での経済活動で使用するのは日本円ではなく仮想通貨です。日本円を仮想通貨へ換金するためには、日本国内の仮想通貨取引所の口座が必要になります。
おもにメタバースでやり取りされている仮想通貨は、ビットコインやイーサリアムです。代表的な日本国内の仮想通貨取引所には、コインチェックなどがあります。
海外の仮想通貨取引所の口座を開設する
メタバースのプラットフォームによっては、メタバースが独自に発行している仮想通貨にのみ対応していることがあります。その場合は、日本円で購入した仮想通貨をさらに独自の仮想通貨に換金しなければいけません。そのためには海外の仮想通貨取引所の口座が必要です。利用するメタバースのプラットフォームによっては、海外の仮想通貨取引所の口座開設が求められることを覚えておきましょう。
ウォレットサービスを契約する
メタバースへのログインや、メタバース内での仮想通貨を使った決済に必要となるのがウォレットサービスです。代表的なメタバース向けウォレットサービスには「MetaMask(メタマスク)」があります。仮想通貨の口座開設後に、ウォレットサービスを契約しましょう。
情報発信のためのプラットフォームを持っておく
メタバースでの活動を情報として発信して収益を得たいとき、NFTアイテムやゲームの制作を副業にしたいとき、開発スキルを持っていてメタバース関連の副業を得たいときなどは、自分の情報を発信するためのプラットフォームが必要です。クリエイターとして活躍したいときにも、自分が制作したアイテムやアートの宣伝、ブランディングのために情報発信は重要となります。
また、プラットフォームを持つことでメタバース関連の副業を探しているときにも役立つでしょう。YouTubeやFacebook、Twitter、InstagramなどのSNS、noteやブログなど情報発信のためのプラットフォームを持っておくことをおすすめします。
必要なデバイスや機材を用意する
メタバースへの参加に必要なパソコン、ゴーグルなどのデバイスや機材を用意しましょう。メタバースのプラットフォームによって求められるスペックなどが異なるため、確認が必要です。メタバースのサービスによっては、年齢制限(13歳以上推奨など)、海外からのアクセス不可で日本のみアクセス可能などの条件もあるため、合わせて確認しておきましょう。
▼メタバースの始め方、ゴーグルについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
メタバースの副業を成功させるコツやポイント
メタバースでの副業を成功させるために覚えておきたい、コツやポイントを解説します。
目的に合った副業を選ぶ
メタバースで可能な経済活動は幅広くあり、さらに現実空間と連動しているものも多いです。メタバースに関する副業は、メタバース内で行えるものからメタバースに触れなくてもできるものまで幅広くあります。それぞれの副業によって初期投資の金額やリスク、収益や収入の高さ、必要な時間、求められるスキルや知識などが異なります。自分がどのような副業をしたいかによって、適した副業を選ぶのが重要です。
たとえばゲームが好きで通勤時間などのスキマ時間を活用したいならゲームで稼ぐ方法、デザインなどの知識があり、クリエイターとしても活躍したいならNFTアイテムやアートの制作と販売などが向いています。すでにプログラミングの知識などがあり、エンジニアやデザイナーとして副業を検討している人なら、メタバース関連の案件を探す方法もあります。
メタバースの世界に多く触れる
メタバースの副業をするなら、メタバースに関する知識や体験を多く持つことが副業にもプラスとなります。たとえばゲームやアイテムの制作で副業を検討しているなら、自分でメタバースのプラットフォームを歩き回り、どんなものが求められているかの情報収取をするのが重要です。土地の有効活用や投資を考えているときにも、今後開催されるイベントや土地の価格などをつねにリサーチし、最新情報を仕入れておくと良いでしょう。
リスク対策をしておく
メタバースでの経済活動には、仮想通貨が取引に使われます。対応している仮想通貨はメタバースのプラットフォームによって異なりますが、仮想通貨それぞれに価格変動があります。仮想通貨をふくめて暗号資産は変動幅が高いため、短期間の間に価値が暴落する可能性があることを覚えておきましょう。価格変動による暴落のリスクも考え、多額のやりとりをするときには特に留意が必要です。
ほかにも、暗号資産をハッキングされた、秘密鍵を紛失した、送金先アドレスを間違えた、詐欺によって資産の盗難や個人情報が流出したなどのリスクもあります。暗号資産を取引するからこその対策も十分に行っておきましょう。
メタバース空間だけでなく、現実空間での案件のやりとりによるリスクもあります。現実空間で仕事を請け負うときにも、信頼できる取引元かどうかも確認しましょう。
メタバースの副業も確定申告が必要
メタバースでのNFTを用いた取引による副業での所得は所得税の対象となるため、確定申告が必要です。副業で雑所得があった場合は、「給与の全部が源泉徴収の対象で年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える」場合に確定申告が必要となります。NFTでのやり取りも課税対象となることを覚えておきましょう。
自分に合ったメタバースの副業を見つけよう
メタバースでできる副業の種類や必要な準備を解説しました。メタバースでは現実世界とリンクした経済活動も可能です。さらに、メタバースならゲームやデザインなど自分の興味のある分野や、開発や接客などの得意なスキルを活かして収入を得ることもできます。
これからもメタバースの世界は拡大していくことが予想されています。ぜひメタバースで新しい副業を始めてみましょう。
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