近年流行しているメタバースですが、単に「メタバース」と言ってもさまざまな種類があるとご存知でしょうか。ゲームに特化しているプラットフォームやビジネスに活用できるサービスなど、メタバースによってできることや特徴は異なります。会社や個人で使う場合、目的に沿ったメタバースの選択が必要です。 この記事では、メタバースの種類を活用方法ごとに解説します。メタバースでできることや代表的なメタバースプラットフォーム10選も紹介しますので、ぜひご一読ください。
この記事でわかること
メタバースでは何ができる? 3つの基本的な使い方
冒頭でお伝えした通りメタバースはカテゴリーによって特徴が違うわけですが、そもそも何ができる空間なのでしょうか。まずは、多くのメタバースに共通する3つの基本的な使い方から見てみましょう。
1.距離にとらわれないリアルなコミュニケーション
2.臨場感の高い非現実的な体験
3.イベント参加や商品購入
順番に説明します。
1.距離にとらわれないリアルなコミュニケーション
メタバースの基本要素と言えるのが、ユーザー同士のコミュニケーションです。メタバースにアクセスできる環境さえあれば、国内外を問わず遠く離れている人とも交流できます。また、多くの場合で3Dモデルのアバターを使うため、ジェスチャーを交えたリアルなやり取りを実現できるでしょう。
VRヘッドセットに対応しているメタバースであれば、視界の全てを使ってメタバースに没入できます。なお、メタバースによって対応機器に違いはありますが、VRヘッドセットがなくてもPCやスマホ、ゲーム機といった端末からもアクセス可能です。いずれの端末であれ、現実世界の距離とは無関係な空間で交流を深められます。
2.臨場感の高い非現実的な体験
メタバースはVRヘッドセットを使用すると、臨場感の高い非現実的な空間を体験できます。たとえばゲーム要素のあるメタバースは、VRヘッドセットとリモコン操作で迫力のあるリズムゲームなどを楽しめます。
また、「VRChat」のような自由にワールド(メタバース内の個別空間)を生成・カスタマイズできるメタバースも存在します。公開されているワールドの中から好みの世界を選べば、現実には存在しない空想的な世界を散策できるでしょう。本当にその世界にいるかのような映像体験がしたい場合は、VRヘッドセット対応のメタバースがおすすめです。
3.イベント参加や商品購入
メタバースは仮想空間ですが、現実世界と同じようにイベント参加やショッピングを楽しめます。イベントは、メタバース内で開催されている展覧会やライブに参加できます。録画したイベントを視聴するわけではないため、主催者や他の参加者とリアルタイムにコミュニケーションを取れる点が魅力です。
また、商品を購入できるメタバースも珍しくありません。実在するブランドが運営するメタバース内の店舗を訪れて、現物の商品を買えます。あるいは、メタバース内で使える服などのアイテム購入も可能です。
メタバースの種類の前に:関連する重要技術4つを理解しよう
メタバースは多くの技術が関わっていますが、中でも関連深いのが下記4つの技術です。
1.XR(VR / AR / MR)
2.ブロックチェーン
3.NFT
4.仮想通貨(暗号資産)
メタバースの種類を説明する際に、上記4つの用語が関わってきます。事前に意味を確認しておきましょう。
1.XR(VR / AR / MR)
XRは、メタバースの仮想空間を作る技術の1つです。「XR」という技術があるのではなく、VR / AR / MRのいずれか、または全ての技術を組み合わせた総称を指します。それぞれの違いは、以下の通りです。
・VR(仮想現実):VRデバイスを装着し、仮想空間を360°表示する
・AR(拡張現実):現実空間を画面上に写し、仮想情報を重ねて表示する
・MR(複合現実):MRデバイスを装着し、現実空間に仮想情報を投影・操作する
なお、「メタバースはVRデバイスが必須」といった誤解がよくありますが、メタバースはVR専用サービスではありません。多くの場合、PCやスマホからのアクセスに対応しており、そもそもVR未対応のメタバースもあります。
2.ブロックチェーン
ブロックチェーンとは、ネットワーク上の取引履歴を複数のコンピュータで保管・共有する技術です。取引履歴は「ブロック」単位で管理され、最古から最新までのブロックが連結して保管されています。改ざんが非常に困難な仕組みで、安全性の高さが特徴です。たとえば、攻撃者が過去のある部分を改ざんしたい場合、そこから連なる最新までのデータも改ざんしなくてはいけません。
加えて、データは複数のコンピュータで保管しており、1つの組織で保管するよりもデータの透明性が高く、不正も発覚しやすいです。一部のコンピュータが停止しても、他のコンピュータによってシステムを安定稼働させられます。ブロックチェーンにはこうした多くのメリットがあるため、メタバースに取り入れているサービスが増えています。
3.NFT
NFTとは、ブロックチェーンで管理しているデジタルデータです。ブロックチェーンを取り入れたメタバースでは、仮想空間内のアイテムやアバター、土地などのデジタルデータがNFT化されています。なぜNFT化するのかといえば、デジタルデータの資産的価値を保証できるからです。
取引履歴、作成者、現在の保有者などの情報をブロックチェーンに記録することで、オリジナルデータとコピーデータに違いが生まれます。つまり、現実世界のアート作品と同じく、本物と偽物の区別がつくようになるわけです。NFT化したアイテムはメタバースを超えて現実世界でも売買可能で、投資対象にもなっています。
4.仮想通貨(暗号資産)
仮想通貨(暗号資産)とは、ブロックチェーン技術を用いているデジタル上の通貨です。ブロックチェーン対応のメタバース内で、NFTアイテムの取引に仮想通貨が使われるケースがあります。メタバースのNFTアイテムを扱う「NFTマーケットプレイス」では、仮想通貨による取引が主流です。
また、メタバースの独自通貨が「現実の仮想通貨取引所」で流通しているパターンもあります。NFTアイテムと同じく、独自通貨も投資対象として人気です。
▼メタバースにおけるNFTやブロックチェーンという考え方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
メタバースの種類:6つの活用方法
メタバースの種類は、活用方法ごとに以下6つに分けられます。
1.バーチャルオフィス
2.メタコマース
3.メタバースライブ・フェス
4.都市連動型メタバース
5.メタバースゲーム
6.バーチャル展覧会・オンライン展示会
1つずつ具体的な特徴を解説します。
1.バーチャルオフィス
バーチャルオフィスとは、仮想空間に自社オフィスを設け、テレワーク中の社員の職場代わりになるメタバースです。「仮想オフィス」とも呼ばれます。仮想空間内のオフィスもカスタマイズできて、社員がそれぞれ自分のアバターを作成します。
テレワーク下のコミュニケーション方法は、Web会議やチャットツールが一般的です。しかし、現実のオフィスのように「隣席の人と少し雑談する」ような気軽なコミュニケーションはできません。一方のバーチャルオフィスは、アバターを使って仮想空間に勤務します。対面のやり取りと近い感覚のコミュニケーションが可能なため、テレワークの普及にともなって需要が伸びています。
2.メタコマース
メタコマースとは、メタバース内にショッピングブースを設け、実際の商品を販売するバーチャル店舗です。ショッピングモール型や街並みを再現したものなど、さまざまなメタコマースがあります。ユーザーは3Dモデルや現物の動画、ARによる映像などの方法で商品を確認し、ECサイトに遷移して購入します。
ECサイトともっとも異なるのは、実在するスタッフによる接客です。アバターを介したリアルタイムな会話やジェスチャーで、スムーズなコミュニケーションを行えます。他にもアバターの距離による声のボリューム変化、来場者へのタイムセール告知といった現実の店舗と変わらない雰囲気を作れるのも、メタコマースならではの魅力です。
3.メタバースライブ・フェス
メタバースでは、音楽フェスやライブを開催できます。専用の音楽ライブプラットフォームやゲーム内など、開催形式は自由です。ゲームの例を挙げると、「フォートナイト」は仮想空間にて音楽ライブを主催しています。
メタバースライブやフェスの参加方法は、有料チケットの購入、あるいは無料の自由参加が一般的です。ライブ会場によっては視聴ブースを設置して、ライブに参加したユーザーが楽曲を買える場合もあります。アーティストの物販販売や来場者同士の交流など、ファンが楽しめる空間作りがされています。
4.都市連動型メタバース
都市連動型メタバースとは、実在する都市を再現した仮想空間です。日本国内には「バーチャル渋谷」や「バーチャル大阪」などの都市連動型メタバースが存在します。VRヘッドマウントやモバイル端末から入場し、ユーザーは仮想の街並みの散策が可能です。
なお、バーチャル渋谷とバーチャル大阪はワープゾーンで繋がっており、簡単に往来できるシステムです。街の中では、トークショーや音楽ライブ、スポーツ観戦といったイベントを開催しています。大掛かりなイベントも可能で、2021年10月には街中がハロウィーン仕様になり、ゲームエリアや期間限定ショップを設けてイベントを盛り上げました。
5.メタバースゲーム
メタバースゲームは、名前の通りゲームで遊べるメタバースです。たとえば「あつまれどうぶつの森」や「Minecraft」などのタイトルが該当しますが、広義のメタバースとして区別する解釈もあります。NFTやブロックチェーンを用いた本格的なメタバースゲームとは、分けて語られるケースが多いようです。
本格的なメタバースゲームのデータはNFT化されており、資産価値があります。そのため、仮想通貨を使ってアイテムを売買したり、土地を貸し出したりするといった経済活動が生まれています。「Axie Infinity」のように、ゲーム内のステージをクリアして仮想通貨を得るメタバースも存在します。
6.バーチャル展覧会・オンライン展示会
バーチャル展覧会またはオンライン展示会は、メタバース内でNFT作品やデジタル作品を展示する仮想空間です。アートだけでなく、現実の商品・サービスをアピールする場にもなります。期間限定開催のほか、期間終了後も展示会のアーカイブを発信してコンテンツを残すことも可能です。
2022年開催の「NFT FESTA」では、NFTアートの展示に加えてミニゲームなども催されました。さらに、住宅メーカーの大和ハウスが「メタバース住宅展示場」を公開し、バーチャル展覧会の幅が広がっています。
▼ユーザー視点でのメタバースで「できること」については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
メタバースの活用が広がっている理由4つ
多種多様な活用方法があるメタバースですが、なぜ最近になって注目を集めているのでしょうか。理由として、以下の4項目が挙げられます。
1.VR技術・デバイスの進化
2.NFT・仮想通貨を使ったビジネスや投資
3.企業のメタバース参入
4.非対面コミュニケーションの需要増加
それぞれ詳しく説明します。
1.VR技術・デバイスの進化
1つ目の理由は、VR技術やデバイスの進化です。「VR元年」の2016年ごろに比べて2022年現在のVR技術は発展しており、供給されるVRコンテンツ自体が増えています。また、2016年ごろはVRヘッドマウントを使う際は、ハイスペックPCとの接続が必要でした。現在は単独で使えるスタンドアロン型のVRが登場しており、導入のハードルが下がっています。
加えて、VRヘッドマウントも軽量化・小型化や値下がりが進み、ライトユーザーに訴求しやすくなりました。VR対応のメタバースは多いため、こうしたVR技術の発展が需要を後押ししています。
2.NFT・仮想通貨を使ったビジネスや投資
メタバースにNFTが浸透したことで、ゲームアイテムの売買によるビジネスや投資が話題を呼びました。作成したアバターやファッションをNFT化して販売できるため、クリエイターの新たな活動場所になります。
「OpenSea」のようなNFTマーケットプレイスでもアイテムは取引可能で、数多くのアイテムが売買されています。さらに、メタバースの独自通貨は海外の仮想通貨取引所でも扱っており、イーサリアムなどの仮想通貨に交換可能です。イーサリアムは円やドルへ交換できることから、メタバースは投資家にも注目されています。
3.企業のメタバース参入
海外・国内企業ともに、メタバースへの参入が活発化しています。具体的には、以下の例が挙げられます。
・メタバースへの店舗出店
・独自のメタバースプラットフォームの開発・提供
・イベント開催
・仮想オフィスの利用
こうした企業参入により、一般ユーザーの利用シーンが広がりました。これまでのメタバースはゲーマー向けの印象がありましたが、ゲームに関心のないユーザーも楽しめるコンテンツに進化しています。
4.非対面コミュニケーションの需要増加
新型コロナウイルスの流行により、世界的に非対面コミュニケーションの需要が増しました。メタバースは仮想オフィスとして使えるため、テレワークとの相性が良いです。ビジネスにおける新たな交流空間として、メタバースが活用されています。
ビジネス面だけでなく、メタバースは音楽ライブや展示会といった非対面形式でのエンタメシーンにも最適です。配信視聴とは違い、会場の参加者同士でコミュニケーションを行えます。仕事やプライベートの繋がりの場として、メタバースの利用が進んでいます。
メタバースプラットフォーム10選:特徴を紹介
2022年現在はメタバースの流行期とも言えるため、多数のプラットフォームが展開しています。代表的な10サービスをピックアップし、特徴や活用事例を交えて紹介します。
1.XR World
「XR World」は、NTTドコモが提供するメタバースプラットフォームです。アバターを使って無料入場し、仮想空間の散策やエンタメイベントに参加できます。他のユーザーとは、テキストとボイスチャットの両方でコミュニケーションが可能です。2022年の3月にオープンしたばかりのサービスで、現在は音楽イベントを中心に提供しています。スポーツ・教育・観光などのコンテンツの拡充を予定しており、今後の発展が期待されるメタバースです。
2.バーチャルマーケット
「バーチャルマーケット」は、株式会社HIKKYが運営するメタバース空間のデジタルマーケットです。来場者は会場内を自由に見て回り、展示アイテムの試着・購入ができます。実在の商品も販売されているため、仮想と現実の両面でショッピングを楽しめるでしょう。2018年から毎年開催しており、過去には東宝株式会社によるゴジラブースの出店など、企業も参加する人気VRイベントです。ショッピングのほか、乗り物やライブ、VR体験も楽しめます。
3.RISA
「RISA」は、株式会社OPSIONによるメタバースオフィスサービスです。自社フロアをカスタマイズして、社員が過ごしやすい仮想の職場を作れます。複数フロアの作成もできるため、数千人の大規模利用も可能です。アバターには「休憩中」「作業中」といったステータスが表示され、メンバーごとの稼働状況を把握できます。同時接続数などが異なる4つの料金プランがありますが、全てのプランでユーザー数は無制限です。
4.VRChat
「VRChat」は、米国のVRChat社が運営・提供しているソーシャルVRです。ユーザー同士のコミュニケーションを主な目的としており、TwitterやInstagramのようなメタバース版SNSと言えます。アバターによるジェスチャーやボイスチャットで意思疎通し、テキストチャット機能はありません。自身の動作をトラッキングしてアバターが動くため、相手が目の前にいるかのような交流を体験できます。日本語未対応なので、始める際は日本向けコミュニティを参考にすると良いでしょう。
5.Fortnite(フォートナイト)
「Fortnite(フォートナイト)」は、Epic Games社のオンラインTPSゲームです。非戦闘モードの「パーティロイヤル」は、ユーザーが自由に過ごせる空間となっています。戦闘だけでなく建築要素もないため、ゲームが苦手な人でも交流を目的として気兼ねなく参加できるでしょう。「メイン・ステージ」ではショーが開催され、音楽ライブや映画を鑑賞できます。すでに数多くのアーティストによるコンサートが行われており、TPSゲームの枠を超えた仮想空間を提供しています。
6.oVice
oVice株式会社のバーチャルプラットフォーム「oVice」は、オフィスやイベント開催、スクール利用向けにサービスを提供しています。メタバースのカスタマイズ操作はシンプルで、200種類以上のデザインから選択してアップロードするのみです。空間内にはアイコン型のアバターが表示されており、誰がどこにいるのかすぐに分かります。相手のアバターをクリックするとオートで近づくため、スムーズな会話が可能です。スタッフによるサポート対応があり、初めてのメタバースでも安心して導入できるでしょう。
7.メタパ
「メタパ」は、凸版印刷株式会社のメタコマースサービスです。スマホ向けアプリとして提供しており、iPhoneとAndroidに対応しています。ショッピングモール型のメタコマースで、ユーザーは複数のバーチャル店舗を回遊して商品を購入できます。グループでの来店も可能で、空間内のユーザー同士で音声・テキストによる会話が可能です。出店企業向けのデータ分析機能もあり、アクセス数やECサイト遷移数といった数値をマーケティング戦略に活かせます。
8.CYZY SPACE
株式会社メタバーズの「CYZY SPACE」は、オンライン展示会やショールームなどのバーチャルイベントに活用できるクラウドサービスです。展示会に適した仮想空間を用意しており、主催側は簡単に設営できます。アバターを使って来場者に接客し、音声やチャットでの対応が可能です。アバターの位置関係によって音量が変わる「3Dボイス」にも対応しており、臨場感のある交流を行えます。なお、PC・スマホのWebブラウザから参加できるので、ユーザーの来場ハードルを下げられます。
9.Horizon Workrooms
「Horizon Workrooms」は、ビジネス会議や共同作業の場として使えるVR空間です。アメリカのMeta社(旧:Facebook社)が提供しており、2021年8月からベータ版を公開しています。Meta社のVRヘッドセットと専用リモートデスクトップアプリを使うと、仮想空間内に自分のコンピュータの画面を表示させられます。仮想空間内で作業とコミュニケーションが完結するため、チームメンバーとの共同作業を効率化できるでしょう。また、ビデオ通話による会議参加が可能なので、VR環境がないメンバーも問題なく意思疎通を図れます。
10.cluster
「cluster」は、クラスター株式会社運営のメタバースプラットフォームです。VR、PC、スマホアプリに対応しており、慣れた環境でバーチャル空間に入り込めます。ユーザーは初めにアバターをカスタマイズし、他ユーザーとの交流やイベントを自由に楽しめます。「Creator Kit」を使えば、自分の好きなように仮想世界を構築可能です。クラスター株式会社は都市連動型メタバース「バーチャル渋谷」も開発しており、cluster内から同エリアへ入場できます。
メタバースの課題と将来性
多くの活用事例があるメタバースですが、いくつか課題を抱えています。メタバースの将来性と合わせ、下記3つのトピックを紹介します。
1.メタバース空間の法整備
2.メタバース関連機器の発達・普及
3.投資・ビジネスの拡大
詳しく解説します。
1.メタバース空間の法整備
メタバースは仮想通貨を使ってデジタルデータを取引できますが、2022年5月現在はデジタルデータについて法律上で直接の定めがありません。つまり、メタバース内のアイテムなどのデータは知的財産権によって保護されていないわけです。誤操作やバグによりメタバースから消失しても復元できるとは限らず、ベンダー側に補償の義務もありません。
法的定めはないものの、民間によるガイドライン策定は進んでいます。国内団体「バーチャルシティコンソーシアム」は、都市連動型メタバースにおけるガイドライン(※1)を発表しました。アバターの肖像権など、UGC(ユーザーが作成したアイテム)の保護といった項目に触れ、メタバース運用の指針を示しています。
2.メタバース関連機器の発達・普及
VR対応が多いメタバースの人口を増やすためには、高い没入感で仮想世界を楽しめるVRデバイスの普及が重要です。VRデバイスは従来品に比べれば購入しやすくなっていますが、LINEリサーチの2021年調査(※2)によると、VRの国内普及率は5%に留まります。現状では、VR機器を保有しているのはVRゲームユーザーが中心と言えるでしょう。
また、VR機器に限らず、AR / MR技術を搭載した「スマートグラス」の開発にも期待が寄せられています。VRよりも没入感は減りますが、装着しやすい眼鏡型デバイスであるため、ライトユーザーの導入ハードルの低さが強みです。こうしたメタバース関連機器の発達・普及は、メタバース人口の増加に貢献するでしょう。
3.投資・ビジネスの拡大
すでにお伝えしてきた通り、メタバースは投資やビジネスとして注目を集めており、今後さらなる拡大が期待されます。メタバース提供ベンダーへの投資も活性化しているため、より発展した仮想空間がユーザーに提供されるかもしれません。
今後、メタコマースが普及すれば、新たなショッピング形式として販路拡大が狙えるでしょう。企業だけでなく、個人のクリエイターもメタバース内で自分のNFT作品を自由に発表できます。現実世界では地理的制約が生じますが、メタバースであれば世界中の人に作品を届けられます。メタバースの拡大は、企業・個人にかかわらず多くのビジネスチャンスを生み出すでしょう。
※1 出典:バーチャルシティコンソーシアム「バーチャルシティガイドライン ver.1.0」
http://shibuya5g.org/research/docs/guideline.pdf
※2 出典:LINEリサーチ「流行体感から読み解くサービス未来予測 流行予想シリーズ ~VR(バーチャルリアリティ)編~」
https://research-platform.line.me/archives/38203466.html
▼メタバースの将来性については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
メタバースを利用するなら目的に合った種類を選ぼう
メタバースは、活用方法に応じたプラットフォームがあります。ショッピングを楽しめる「メタコマース」、仮想の職場を作れる「バーチャルオフィス」など、種類はさまざまです。初めてメタバースを使う際は、目的に合った使い方ができるサービスを選びましょう。
Metaverse Mediaに関するお問い合わせはこちら