仮想空間であるメタバースの世界を体感するためには、メタバースサービスの利用のほかにも、ゴーグルをはじめ関連する機器の準備が必要です。パソコンはすでに持っているものの、VRゴーグル(VRヘッドセット)はメタバース体験のためにはじめて購入したいという人も多いでしょう。本記事では、メタバース体験に必須となるVRゴーグルとは何かに加えて、VRゴーグルの種類や選び方のポイントを紹介します。はじめてのVRゴーグル選びにもぜひ役立ててください。
この記事でわかること
メタバースで使用するVRゴーグルとは?
VRゴーグルとは仮想空間(バーチャル空間)を体験できるレンズが付属しているゴーグルです。VRゴーグルがなくてもメタバースへの参加は可能ですが、VRゴーグルを使うことでよりメタバースの世界をリアルに体験でき、高い没入感が得られます。特にVRゴーグルを装着している人が首を振ればメタバースの視点もその方向へ動くのは、VRゴーグルならではです。さらに、VRゴーグルはメタバースのサービスに利用するほかにもYouTubeなどで公開されているVR動画の視聴やVRゲーム、アプリなどにも利用できます。
人間が視覚で大きさや距離感を把握できるのは、左右の目それぞれで少しずつずれが生じているためです。VRゴーグルも人間の視覚のメカニズムを利用し、左右それぞれで少しずつレンズにズレを生じさせることで、VR動画や仮想空間の映像を立体的に映しています。
メタバースで使用するVRゴーグルの種類
メタバースのために使用するVRゴーグルは、主に「モバイル型」「据え置き型」「スタンドアローン型」の3種類があります。それぞれのVRゴーグルの種類や特徴、使い方について解説します。
モバイル型
モバイル型とは、ゴーグルにスマホを直接取り付けて使用するVRゴーグルです。スマホ対応型や、スマホ+VRゴーグル型とも呼ばれています。スマホの画面がメタバースの世界を映すディスプレイとなるため、ゴーグル自体にディスプレイが付属していないのが特徴です。
手持ちのスマートフォンに対応しているVRゴーグルを選べば、すぐにメタバースの世界を体験できます。PCなどに接続する必要もなく、手ごろな価格のものがそろっているため手軽にメタバースを体験したいときにも向いているでしょう。
一方、モバイル型にはメタバースを体験するために必要なトラッキング機能などが付属していないモデルもあります。また画像の質が低くなるため、据え置き型やスタンドアローン型に比べると没入感は低くなります。モデルによっては操作するときに都度スマホを外さなければいけないものがある点にも、注意が必要です。
据え置き型
据え置き型とは、HDMI端子とUSB端子を搭載したパソコンやゲーム機などの外部機器へケーブルで接続して使用するVRゴーグルです。PC・ゲーム機連動型やVRヘッドセットとも呼ばれています。パソコンやゲーム機がハイスペックのものなら、より没入感や臨場感の高いメタバースの世界を体感できるでしょう。外部のコントローラーが付属しているモデルもあり、操作性も高いです。
ただし、メタバースでの映像やアバターの操作性、情報処理速度などはPCやゲーム機のスペックに依存します。据え置き型のVRゴーグルを使うなら、メタバースサービスに適したスペックの外部機器を選ぶ必要があります。また、VRゴーグルのなかでも特に価格が高く、機器とVRゴーグルの接続をはじめとしたセットアップを行う知識も必要です。メタバースをはじめ、仮想空間に関する知識を持つ上級者向けVRゴーグルと言えるでしょう。
スタンドアローン型
パソコンやスマホへの接続は不要で、VRゴーグル単体で利用できるのがスタンドアローン型のVRゴーグルです。スタンドアロン型とも呼ばれています。近年技術開発の進歩により、据え置き型とも遜色のないほどリアルで没入感のある映像が楽しめる人気モデルも増えてきました。トラッキング機能なども優れているものの、据え置き型ほど価格が高くないモデルがあるのも魅力です。
ただし、スタンドアローン型の製品それぞれで対応しているプラットフォームが異なります。自分が利用したいメタバースのサービスに合ったものを選ぶ必要があり、ひとつのVRゴーグルで複数のゲームやメタバース体験ができない場合もあります。バッテリー内蔵型のため、稼働時間に制限があること、製品によってはやや重量が多いなどのデメリットにも注意が必要です。
メタバース体験のためのVRゴーグルのおもな機能や性能
VRゴーグルにはメタバースをはじめ仮想空間や動画、ゲームを楽しむためのさまざまな機能がついています。VRゴーグルに付属しているおもな機能を紹介します。
ピント調節機能
映像のピントを調節できる機能です。ピントのずれはVR酔いを引き起こすこともあるため、ピント調節機能があると便利でしょう。左右で視力が違う人や、メガネをかけたまま装着して合わせたいときなどにも役立ちます。
ヘッドホン内蔵
VRゴーグルにはイヤホンやヘッドホンを別途接続するもののほか、VRゴーグルにヘッドホンが内蔵されているモデルもあります。内蔵ヘッドホンのメリットは、都度イヤホンやヘッドホンを接続する必要がない、配線が邪魔にならないなどです。さらにヘッドホンの音質が高ければ、より没入感も得られるでしょう。
トラッキング機能
内蔵されているセンサーによってVRゴーグルを装着している人の首や体の動きを追尾し、映像にも反映するのがトラッキング機能です。頭や首の前後・左右移動や回転を検知し反映するのがヘッドトラッキング機能または3DoFと呼ばれます。現実での振り向く、うつむく、首を振る、うなずくなどの動作が、仮想空間でも反映されます。
ヘッドトラッキング機能に加えて体の前後左右上下の動きを検知し、反映されるのがポジショントラッキング機能または6DoFです。ポジショントラッキング機能があれば、しゃがむ、前後左右に移動する、ものをつかむ、などの動作も反映されます。
ポジショントラッキング機能は、VRゴーグルがヘッド・ポジション両方のトラッキング(フルトラッキング)に対応しているもの、VRゴーグルにヘッドトラッキング機能があり、ポジショントラッキング機能は専用の付属コントローラーで補完できるもの、VRゴーグルにトラッキング機能がなく別途外部センサーが必要なものがあります。
まだ導入事例は少ないですが、最新のトラッキング技術として瞳の動きを検知して反映させるアイトラッキング機能があります。アイトラッキング機能により、まばたき、目をそらす、よそ見をするなどの動作も仮想空間に反映されます。今後アイトラッキング機能に対応したコンテンツやVRゴーグルの増加なども期待できるでしょう。
ブルーライトカットレンズ
メタバースの世界の画像を長時間見続けることは、目にも負担がかかります。目への刺激を軽減する、ブルーライトカットレンズを採用しているVRゴーグルも検討してみましょう。
VRリモコン
モバイル型のVRゴーグルの場合、コンテンツ操作の際に都度スマホを取り出さなければいけません。VRリモコンが付属または内蔵されているVRゴーグルなら、スマホをVRゴーグルに装着したまま、手元でワイヤレス操作ができます。内蔵型なら、頭の動きによってコンテンツの設定や決定が可能です。ただし、VRリモコンはモデルによって、例えばiPhoneのみ対応でAndroidやほかの機種・OSには対応していないなど、使用機器が制限される場合があるので注意しましょう。
ディスプレイ性能
メタバースの世界を体験するには、よりリアルで鮮明な映像を楽しみたいという人も多いでしょう。ディスプレイ性能を左右するのが、視野角とリフレッシュレートです。
視野角とは、映像をどれくらいの範囲まで表示できるのかを角度で示した値を指します。視野角が狭いと、上下左右の映像が途中で切れてしまうことになり、リアリティが薄れてしまいます。視野角100度以上のものを選びましょう。おすすめは110~120度です。ただし、モバイル型VRゴーグルの場合、視野角は装着するスマホのサイズと視聴するコンテンツの設定に依存します。
リフレッシュレートとは、1秒間に画面を書き換える回数を表したものです。メタバースをふくめ映像は静止画を連続表示することで動きを表しているため、リフレッシュレートが高ければ高いほど動きのなめらかな映像が楽しめます。さらに画面のちらつきもおさえられるため目が疲れにくいのもメリットです。VRゴーグルのリフレッシュレートは、一般的な液晶テレビのリフレッシュレートである、60Hzを目安にすると良いでしょう。
メタバースのVRゴーグルの選び方のポイント
メタバースのためのVRゴーグルを選ぶためのポイントを解説します。
使用するデバイスに対応しているか
メタバースを楽しめるサービスは、PCアプリケーション、ゲーム、スマホアプリとさまざまなものがあります。メタバース参加で使用するデバイスに対応したVRゴーグルを選びましょう。以下にゴーグルのタイプごとのチェックポイントをまとめました。
・モバイル型…手持ちのスマホのサイズに合うか、OSは対応しているか
・備え付け型…PCのOSに対応しているか
・スタンドアローン型…利用したいメタバースのプラットフォームに対応しているか
長時間の使用なら重量やフィット感をチェック
VRゴーグルは目や頭部に装着して使用するもののため、長時間使用していると頭部や首、ゴーグルが当たる部分が痛くなってくることがあります。長時間使用するなら、頭部や首に負担のかかりにくい重量のものを選びましょう。目安となるのが700gほどです。モバイル型の場合は、装着するスマホの重量も考慮します。
顔にあたる部分に負担がかからないやわらかい素材やクッションを採用しているもの、ゴーグルの装着感を調整できるものなどを選ぶのも重要です。使用する姿勢や用途に合わせた素材や仕様もチェックしましょう。たとえばはげしい動きをするときは、VRゴーグルをしっかり固定できるハードバンドのもの、寝る姿勢でメタバースを利用するときには頭に当たっても痛くないゴムバンドのものを利用するなどの選択肢もあります。
めがねをしたまま装着できるか
めがねをかけたままVRゴーグルを装着したいときは、手持ちのめがねに合うものを選びましょう。VRゴーグルによって、めがねのフレームや幅に制限があります。
機能と価格のバランスを考える
高スペックPCにも対応した据え置き型や、多くの機能が搭載されたスタンドアローン型は没入感の高いメタバース体験ができる一方、価格が高くなる傾向にあります。一方比較的安価なモバイル型は機能が最低限のみ、素材がボール紙で耐久性が低いなどのデメリットもあります。機能と価格のバランスを考えてVRゴーグルを選びましょう。
メタバースのVRゴーグルの有名メーカー
メタバース利用におすすめのVRゴーグルを販売している有名メーカー企業を、代表的なVRゴーグルの商品とともに解説します。
※各機器のスペックは2022年5月時点のものです
Meta(メタ)
旧名FaceBookのメタ社は、オールインワン型VRヘッドセット「Quest 2」シリーズをリリースしています。単眼で1892×1920ピクセルの美しいグラフィックや、快適なパフォーマンスを実現したプロセッサなどを搭載。手の動きを再現する専用コントローラーも付属しています。何100種類のゲームやメタバースをかんたんな設定のみで体験できるため、メタバース初心者にもおすすめです。
ELECOM(エレコム)
オフィスやデジタル機器のサプライアイテムを豊富に展開しているメーカーです。さまざまなモバイル型のVRゴーグルを展開しています。スタンダードなものからヘッドホン内蔵型、VRリモコン付属、2Dと3D両方の対応、かぶるだけでセットできるハードバンドタイプなど、ラインナップが豊富にそろっています。
HTC
HTCではVRゴーグル「VIVE」シリーズを展開。グラスタイプで持ち運びにも便利なVIVE Flow、据え置き型、ハイスペックなPCとの親和性も高くメタバースやVRゲーム上級者向けのVIVE Proシリーズ、高解像度の3K AMOLEDスクリーン、Qualcomm Snapdragon835処理を搭載したスタンドアローン型の高解像度の3K AMOLEDスクリーン、VIVE Focusシリーズなど、用途に応じたものを選べます。
HP(ヒューレット・パッカード)
パソコンをはじめデジタルデバイスを展開しているメーカー、HPでは据え置き型VRゴーグルの「HP Reverb G2 VR Headset」を展開しています。4カメラを内蔵し6DoFのフルトラッキングを実現。ケーブルを除けば約500gの軽量仕様のため、長時間の使用にも向いています。SteamVRやWindows Mixed Realityに対応しているため、メタバースをはじめ豊富なタイトルが遊べるのも魅力です。
SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)
家庭用ゲーム機Playstationに接続し、VRが体験できる「Playstation VR」を展開しています。サイズ5.7インチ、1920×RGB×1080のOLEDディスプレイを搭載して鮮やかなディスプレイを再現、高速でスムーズなフレームレートなど快適にプレイできる環境が整っています。
VRゴーグルはメタバースの没入感をより高めてくれるデバイス
メタバース参加のためのVRゴーグルの種類、機能や選び方、有名メーカー企業を解説しました。VRゴーグルを利用することで、よりメタバースの没入感を高められます。参加したいメタバースサービスや利用するデバイス、重視したい機能などに合ったVRゴーグルを購入し、よりメタバースの世界を楽しみましょう。
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