2022年の注目キーワードのひとつとして挙げられることの多い「メタバース」ですが、一方で「流行らない」と断言する人もいます。まだ始まったばかりのサービスなのに、なぜ「メタバースは流行らない」と言い切れるのか気になりますよね。 そこで今回は、メタバースが流行らないとされている理由と、過去に流行らずに消えていった仮想空間サービスとの違いについてご紹介していきます。それらを元にメタバースが本当に流行らないのかどうかについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
なぜ「メタバースは流行らない」と言われているのか
メディアの記事などで取り上げられることが増え、新しいビジネスモデルとして注目されているメタバースですが、影響力の高いインフルエンサーの中には「メタバースは流行らない」と断言している人もいます。
メタバースはこれから本格化するサービスなのに、なぜ流行らないと断言しているのか、まずはその理由についてご紹介していきます。
メタバースに対する認識が人によって違う
「メタバースは流行らない」と言われている最大の理由は、そもそもメタバースが何なのかを正確に把握できている人が少ないためです。メタバースが仮想空間だというのは、すでに多くの人が共有していても、そこで何ができるのか、どのようなメリットがあるのかについてまでは認識がそれぞれ違います。
たとえばメタバースを現実世界と対になる大きな空間として認識している人と、FacebookやTwitterのような閉ざされたコミュニティのサービスと認識している人とでは、イメージするものが大きく違います。それぞれの認識が違うため、当然結論も変わってくるので、流行らないとする人もいれば、流行るという人もいるわけです。
また、メディアの報道があまりにも加熱しているのもあり、意図的にトレンドを作り出そうとしているように感じている人も少なくないようです。最近はメディアにコントロールされることを嫌う人が増えており、やや強引な盛り上がりに反発する形で「流行らない」としている人もいます。
VRヘッドセットなどの導入ハードルが高い
多くの本格的なメタバースにはVRヘッドセットが必要とされており、それを購入しないと導入できないため、始めるための手軽さがありません。しかもVRヘッドセットは高額で、2022年5月の段階では定番モデルが4万円前後の価格で売られています。
まだ流行るかどうかわからないのに4万円も投資するのは、新しいものに敏感な人くらいで、多くの人が様子見となっているのが現状。どこかで大きなブレークポイントがなければ、みんな様子見のまま、流行らずに終わってしまう可能性があります。
また、VRヘッドセットを実際に利用した人の声として「重たくて首が痛くなる」といったものが多く、長時間の着用は現実的ではありません。ただし、ハードウェアは進化するものですので、この問題は数年後には解決している可能性があります。
過去の仮想空間サービス「Second Life」が失敗している
メタバースが流行らない理由として「Second Life(セカンドライフ)も流行らなかった」と言う人もいます。Second Lifeは過去にメディアでも注目された仮想空間サービスですが、残念ながらすでに忘れられた存在。メタバースも同じことになるという声をよく耳にします。
実際にメタバースでできることとして紹介されている多くのサービスが、Second Lifeでも実現していました。それらのサービスが定着していないということは、誰もそのサービスを望んでいないということであり、時代が変わっても結果は同じと考えて当然です。
ただしSecond Lifeの失敗が、メタバースの成功に繋がっており、環境やテクノロジーの変化などもあって「今なら成功する」と言う人もいます。そこで、次章では過去の仮想空間サービスとメタバースにどのような違いがあるのか、詳しくご紹介していきます。
過去の仮想空間サービスとメタバースの違い
メタバースが流行らない理由として、「Second Lifeが過去に失敗している」と挙げる人もいますが、Second Lifeが流行った当時と現在では仮想空間を取り巻く環境が大きく違います。どのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
インターネット環境が大幅に向上した
Second Lifeなどの過去の仮想空間サービスは、ハイスペックなパソコンが必要で、しかもサービスに接続するには高速なインターネット環境も求められました。たとえばSecond Lifeのインターネット環境はケーブルまたはDSLが必須。
ところが、2022年のモバイル通信は4Gが一般的になり、さらには5G通信できる場所も増えており、どこにいても高速なインターネット環境が整います。このため、メタバースでは場所の制約なくサービスに接続できるようになっています。
端末もパソコンではなく、スマートフォンを利用できるため、VRヘッドセット以外はメタバースのために新たに揃える必要もありません。過去の仮想空間サービスと比較すると、導入ハードルがとても低くなっているため、メタバースは成功する可能性が高いとされています。
すでにゲームの世界でメタバースが定着している
メタバースは難しそうと思っている人も多いようですが、実はすでに多くの人がメタバースの世界を体験しています。全世界で3,800万本以上売れた人気ゲームの「あつまれ どうぶつの森」は、メタバースサービスのひとつで、3,800万人以上がすでにメタバースの世界に触れています。
他にもFORTNITEやFINAL FANTASY XIV(FF14)も、広い意味でのメタバースサービスで、私たちの周りにはすでにメタバースが定着しています。Second Lifeのように仮想空間に入るという意識もないまま、あたり前のようにメタバースを体験しているわけです。
メタバース内でのサービスを提供する側は、様々な知識やノウハウが必要になりますが、ユーザーはゲームやSNSを楽しむ感覚でメタバースを始めることになります。Second Lifeのように身構えることもないため、自然と広まっていくことが予想されます。
世界中の企業が投資している
Second Lifeなどの過去の仮想空間サービスも企業が投資しましたが、メタバースに関しては、投資規模がまったく違います。Facebookなどを運営しているMeta社は、メタバース事業に対して100億ドルを先行投資しています。
Meta社以外にも多くの企業が投資しており、2020年の市場規模は4,787億ドルで、2024年には7,833億ドルを突破するとBloombergの担当者が予想(※1)。もちろん、将来的にはさらなる成長が見込まれており、流行らない理由が考えられないくらいの市場規模になっています。
この規模になると「流行る、流行らない」という次元ではなく、将来的にはインターネットのように日常生活になくてはならないサービスへと成長する可能性すらあります。
※1 出典:【Bloomberg Professional Services】Metaverse may be $800 billion market, next tech platform
https://www.bloomberg.com/professional/blog/metaverse-may-be-800-billion-market-next-tech-platform/
仮想通貨やNFTに対する信頼度が上がっている
メタバースが流行る上で重要になるのが、仮想空間内での取引方法です。Second Lifeでも仮想通貨が使われていましたが、当時はまだ仮想通貨という概念が定着しておらず、しかもSecond Life内で土地や商品を購入しても、それらに価値はないというのが多くの人の認識でした。
実際にSecond Lifeで購入した土地は、すでにほぼ無価値となっています。ところが、現在では仮想通貨の話題はニュースなどでも耳にするほど一般的で、さらにNFTの考え方が広まり、デジタルでも価値が担保されるという考えが定着しつつあります。
仮想通貨やNFTの信頼度が高まったことで、かつてのように「所詮はデジタルの世界」という考えではなく、仮想空間でも現実世界と同じように稼げる環境が整っています。これが過去の仮想空間サービスとの大きな違いになります。
メタバースの流行りに乗るために今やるべきこと
メタバースはまだ始まったばかりで、どのように展開していくかは未知ですが、数年後にはインターネットのように身近なサービスになる可能性があります。そのときになって時代に取り残されてしまわないように、今のうちにやっておくべきことをご紹介します。
メタバースについて情報収集をする
まずはメタバースがどのようなものなのかを理解するために、メタバースの世界観がわかる仮想空間を舞台とした下記の映画を観てみましょう。
・シュガー・ラッシュ:オンライン
・レディ・プレイヤー1
・竜とそばかすの姫
・サマーウォーズ
映画なんかでメタバースを理解できるの?と思うかもしれませんが、現時点ではメタバースのイメージがあまりにも抽象的すぎて、「よくわからない」となっているかと思います。まずはフィクションであっても、世界観に触れてみることが大切です。
YouTubeなどで、メタバースの最新情報を収集することもおすすめ。専門的な知識を持った人がわかりやすく解説しており、「メタバースは流行らない」と言っている人たちの動画もあります。流行らないとしている人の意見も参考になりますので、幅広くチェックしておきましょう。
▼メタバースを題材とした映画については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
メタバースの世界を体験する
「あつまれ どうぶつの森」のようなゲームだけでなく、すでに本格的なメタバースのプラットフォームを展開しているサービスがあります。まだ始まったばかりですので、サービスが充実しているわけではありませんが、実際に体験することで感じられることもあります。
・cluster(https://cluster.mu)
・VRChat(https://hello.vrchat.com)
・Decentraland(https://decentraland.org)
この他にもいくつものプラットフォームがすでに展開されていますが、おすすめは日本の企業が展開している「cluster」です。イベントやライブに参加できるだけでなく、自分で思い描いた世界をつくれるので、本格的に取り組みたい人にも適しています。
世界観に触れることが大切ですので、どのプラットフォームがいいのかなどは深く考えすぎず、まずは気軽にアカウントを作成して体験してみましょう。
仮想通貨を使える環境を整える
すでに説明しましたように、メタバースの世界でのアイテムやサービスの購入、販売には仮想通貨を利用します。このため、まずは仮想通貨を使える環境を整えなくてはいけません。そのための手順を見ていきましょう。
▼仮想通貨を使えるようにするための手順
1.利用したいメタバースで使われている仮想通貨を確認
2.利用したい仮想通貨に対応している国内取引所を探す
3.国内取引所で口座を開設する
4.仮想通貨を購入する
5.仮想通貨をウォレットに送金する
6.プラットフォームとウォレットを連携させる
まずは使用したい仮想通貨を取り扱っている取引所に口座を開設し、仮想通貨を購入したらウォレット(仮想通貨の保管所)に送金します。あとはウォレットとプラットフォームを連携させれば、メタバース内での売買が可能になります。
やや複雑ですが、仮想通貨なしではメタバースをフル活用できません。今のうちに仮想通貨の取り扱いに慣れておきましょう。
「メタバースは流行らない」は誤解! まずは体験してみよう
メタバースは流行らないという人もいますが、すでにメタバースが流行るための条件が整っており、Meta社を始めとした多くの企業が投資しているので、今後の展開がかなり期待できます。「メタバースは流行らない」を信じて、時代に取り残されないように気をつけましょう。
そのためにはまず、ゲームや映画などでもいいのでメタバースの世界に触れてみることです。すでに始まっているプラットフォームも含めて、メタバースとはどのようなものなのか、まずは体験してみましょう。
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