近年注目を集めているメタバースですが、サービス内容もVR関連の進展にともない急速に進化しています。 「メタバース」とは、もともとSF小説に登場する仮想空間サービスの名称で、現在は仮想空間サービスの総称として使われています。 今回は、現時点のメタバースでどんなサービスがあるのかといった基本的なことから、定番メタバースサービスの最新情報、目覚ましい発展を見せるメタバース市場の最前線などを解説していきます。
この記事でわかること
メタバースにおけるサービスとはどんなものか
▼メタバースの基礎知識については、こちらの記事で解説しています。あわせてご覧ください。
メタバースは、仮想空間で展開されるサービスの総称です。
そこでは、仮想空間ならではの様々な体験が提供されています。まず現状のメタバースにおける主なサービスについて確認していきましょう。
コミュニケーションツール
メタバースサービスの基本といえるのが「コミュニケーション」です。
VR機器の発達で新しい3D体験が提供されはじめていたところに、コロナによる外出自粛が契機となり、仮想空間でのコミュニケーション需要が高まりました。
時間と場所を選ばず、自由にカスタマイズできるアバターを通したリアルな体験は、新しいコミュニケーション手段のひとつとして浸透してきています。
イベントの主催や参加
仮想空間では多くのイベントが開催されています。
例えば音楽ライブやハロウィンなどを仮想空間で展開することで、“ボーダーレス”なイベントを実現できます。
コロナによって一箇所に多くの人が集まるのは難しくなりましたが、仮想空間ならそうした縛りもなくイベントが開催・参加できます。
ビジネスツール
メタバースのビジネス利用も進んでいます。ZoomなどのWeb会議サービスで会議や打ち合わせをする企業が増えていますが、一歩進んで仮想空間上で行えば、より効率的にビジネスアイデアを共有することができるでしょう。
買い物
メタバースではショッピングを楽しむこともできます。
通常のネット通販よりもリアルに近い“ウィンドウショッピング”を楽しめるだけでなく、例えば店員へリアルタイムに相談することも可能です。
即売会のようなイベントなら、参加者間のコミュニケーションやフォトスポットでの記念撮影を楽しみながらショッピングをエンジョイできます。
メタバース 人気サービスの最新ニュース(2022年6月現在)
現在人気を集めるメタバースサービスの最新ニュースをご紹介します。
「フォートナイト」の最新大型ニュース
フォートナイトは、建築物を作りながら最大100人が一斉に戦う「バトルロイヤル」、バトルロイヤルの建築なしバージョン「ゼロビルド」、協力型のタワーディフェンス・サバイバル「世界を救え」、好きなマップ制作や独自のゲームづくりなどが自由に行える「クリエイティブ」という、4つのモードがあり、現在メタバースの定番といえるゲームサービスです。
フォートナイトの最新大型ニュースは、2022年5月20日からNVIDIAの「GeForce NOW」に対応したことが挙げられます。クラウドストリーミングでプレイできるため、高速通信環境であれば低スペックなデバイスでも楽しめます。また、GeForce NOWのモバイルタッチ操作にも対応したので、より気軽にプレイできる環境が整ったといえるでしょう。
「VRChat」の最新大型ニュース
VRChatは、VRとSNSを組み合わせたコミュニケーションが重視されたサービスです(ゲームもできます)。無数のバーチャル空間でコミュニケーションやイベントを楽しめます。企業もプラットフォームとして積極的に利用しており、就職イベントなどが開催されています。
VRChatの最新動向としては、2022年5月25日にIK2.0が導入されました。IKとは、簡単にいうと仮想空間にある3DCGモデルの制御法のことです。今回のアップデートで、ユーザーの動きがより細やかに再現可能になりました。
VRChatは、これに先んじて自分のアバターや友達のアバターを掴んだり動かしたりできるAvatar Dynamicsの本実装も済ませています。
今後も仮想空間でよりリアルなコミュニケーションが可能になっていくでしょう。
メタバースサービスの最前線を紹介(2022年6月現在)
ここからはメタバース全体の動きとして注目される最新のサービスを見ていきましょう。特に日本発のメタバースサービスを中心に紹介します。
メタバース住宅展示場
住宅展示はメタバースと相性が良く、動画や写真より詳細な見学ができます。
大和ハウス工業では、顧客が仮想空間で住宅を自由に見学できるサービスである「メタバース住宅展示場」を2022年4月28日から始めました。
仮想空間のメリットを活かし、屋根の上を見学したり子どもやペットなどの視点で見学することもできます。また、床や壁紙・天井の色、インテリアなどを簡単に切り替えられるのもメタバースならではです。
VRコンテンツを配信できるプラットフォーム
DMM.comはVRコンテンツに特化したプラットフォーム「DMM Connect Chat」を、2022年3月15日にリリースしました。
VTuberやボーカロイドによるVRライブやトークショー、ファンミーティングなどのイベントのほか、展示会やパブリックビューイングなども想定されています。
生まれたばかりの空間ですが、同年5月13日には新機能お披露目イベントを開催するなど、まさに進化中のサービスです。
スポーツ観戦
メタバースサービスはスポーツ業界にも広がっています。
ソフトバンクと福岡ソフトバンクホークスは、PayPayドームをメタバース化する取り組みを2022年5月27日に発表しました。
将来的には、現実の試合をバーチャル空間で配信するほか、コンサートなどエンタメコンテンツも「バーチャルPayPayドーム」で再現することを目指すそうです。
サッカーでは、ソニーグループが2021年11月30日にマンチェスター・シティ・フットボール・クラブと『オフィシャル・バーチャル・ファンエンゲージメント・パートナーシップ契約』を締結し、仮想空間に同クラブのホームスタジアム(エティハド・スタジアム)を登場させる取り組みがなされています。この取り組みは2022年夏頃にローンチ予定です。
また、スポーツメーカー大手のNIKE(ナイキ)は、鬼ごっこで遊べる「NIKELAND(ナイキランド)」を、子供向けゲームプラットフォーム「Roblox」上に開設しています。
ビジネススペース、パーソナルスペース
メタバースが注目される要因として、Facebook社の改名があるのではないでしょうか。同社の新しい社名「Meta」からは、メタバースへ注力する姿勢が感じられます。
そんなメタバースの“本命”が提供するサービスが「Horizon Workrooms」と「Horizon Home」です。
「Horizon Workrooms」はまだβ版ですが、グループでブレストを行ったり、自分のPC環境を仮想空間に持ち込んだりできます。仮想空間での声は場所に合わせて調整され、よりリアルなミーティングが可能です。
「Horizon Home」は、2022年6月14日(米国時間)に発表されたサービスです。ホーム画面へ友人を招待し、プライベート空間でコミュニケーションやゲーム、映画鑑賞をすることができます(2022年6月26日現在では未公開)。
このほかビジネス系のサービスとして自動車メーカーの日産は、銀座にある同社の最先端テクノロジーの発信拠点「NISSAN CROSSING」のバーチャルギャラリーをVRChat内に構築し、一般ユーザーに公開しています。
今後実現が期待できるメタバースのサービスとは
メタバースサービスは今後も様々な拡張が続くでしょう。
ここでは現状で期待されているメタバースサービスをご紹介しましょう。
遠隔診療技術
過疎地域などでは十分な医療を受けられませんが、メタバースで距離の概念をなくせば、より多くの人へ診療が提供できると期待されています。
センサーデバイスやロボットの精度向上によって、理学療法なども遠隔でできるようになるでしょう。
また、仮想空間であれば二次感染のリスクを減らすことにもつながります。
メタバース観光
メタバースは観光において大きな強みを発揮できます。現実では簡単に行けないような場所(辺境の地や宇宙など)もメタバースなら簡単に観光できるでしょう。
肉体を危険にさらすことなく、スリリングな体験を楽しむことができます。
すでに「どこでもドアTrip」(https://trip.dokodemodoors.com/)のようなサービスも始まっており、さらなる展開が期待されます。
OJT
接客業、とりわけ窓口案内業務やレストランのサービスなどの職場内訓練はメタバースの活用が期待できる分野になります。
言葉遣いやアイコンタクトなどロールプレイによるトレーニングを、あらゆるタイプのシチュエーションによって、より実践的に行うことができるでしょう。
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