新しい時代のビジネスとして注目されているメタバースには、多くの企業が参入を表明しており、すでにサービスを開始している事業も出てきました。このような新しいサービスは、参入が早いほどシェアを獲得しやすく、収益が上がりやすい傾向にあります。 そこで本記事では、メタバースの大きな流れに乗り遅れないために、どのようにすれば事業化ができるのか、いくつかの事例をあげて紹介していきます。参入する上での注意点などもあわせて解説していきますので、参入を検討しているという人はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
本当に稼げる? メタバース事業の将来性
メタバース事業に参入するかどうかを会社内で議論すると、ほぼ間違いなく「メタバースは本当に稼げるのか?」という質問をされます。いくら話題になっていても、投資に見合ったリターンが得られないのでは、企業として事業参入する意味がないので当然です。
ただメタバースはまだ構想段階であり、どのような未来が待っているのかを明確に説明できる人はいません。それでもMeta社はメタバース事業に対して100億ドルを先行投資するなど、多くの企業が参入を発表しています。
そういう意味ではとても将来性が期待されているのも事実です。稼げることが確約されているわけではありませんが、ビジネス業界においては定着することを前提に動き出しており、大きなビジネスチャンスが潜んでいます。
メタバース事業に参入したほうがいい理由
稼げることが確約されているわけではないなら、無理せずに様子見をしたくなりますが、メタバースが軌道に乗るのを待っていると間違いなく乗り遅れます。たとえば同業他社が先行して参入していた場合、シェアのほとんどを奪われた状態でスタートすることになります。
そうならないためにも、黎明期である今の段階で参入を決めて、業界内で有利なポジションを築いておきたいところです。ただし、白紙の状態からのスタートになり、サービスを知ってもらうためには開発費用とは別に広告宣伝費なども必要になります。
せっかく先行したのに、予算が足りずに後発組に追い抜かれたということのないように、十分な予算を確保したうえで参入してください。
すでに参入しているメタバース事業の事例
メタバースは将来性が期待されているサービスですが、実はすでにサービスをスタートさせている企業もあります。どのようなメタバース事業が参入しているのか、詳しく見ていきましょう。
Meta「Horizon Worlds」
メタバース事業に対して100億ドルを先行投資しているMetaがサービスを開始しているのが、メタバースのプラットフォーム「Horizon Worlds」です。現時点ではプレイヤー同士で会話やゲームを楽しむくらいしかできませんが、いずれ大規模な音楽イベントなども開催される予定。
2022年6月現在では利用できる国が限られていますが、メタバースの先駆者となるプラットフォームですので、参入するなら動向を常に把握しておくべきサービスのひとつです。
Softbank「FUJI ROCK’19 EXPerience by SoftBank 5G」
メタバースと相性がいいとされるのが音楽イベントで、日本では2019年にFUJI ROCK FESTIVALをバーチャル空間で楽しめる「FUJI ROCK’19 EXPerience by SoftBank 5G」アプリをSoftbankが公開しました。このアプリを使うことで、自宅にいながらFUJI ROCK FESTIVALの会場の雰囲気を味わえます。
今後はこのようなライブイベントが、メタバースのプラットフォーム内で楽しめる予定で、自宅にいながらライブや展示会などに参加できるようになります。
大丸松坂屋百貨店「バーチャル大丸・松坂屋」
2021年12月に開催された世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット2021」では、「バーチャル大丸・松坂屋」が展開され、2,700点以上のグルメ商品を販売。商品が並んでいるだけのECサイトとは違い、実店舗と同じように商品との偶然の出会いが用意されていました。
リアル店舗ともネットショップとも違った買い物体験ができるということで、多くの利用者から高く評価されていました。このように先行者として参入を決めた企業は、すでにノウハウを増やしており、後発組に対して大きなアドバンテージを確保しています。
グリー「REALITY」
「REALITY」はソーシャルゲームでおなじみのグリーが子会社のREALITY社を通じて提供している、バーチャルライブ配信アプリです。このアプリのワールド機能として、バーチャル空間の中を自由に歩き回ることができて、出会ったアバター同士でコミュニケーションをとれるサービスが2021年8月に期間限定で公開されました。
現在はメタバース事業としての展開を進めており、法人向けにバーチャルイベントやプロモーションが行えるプラットフォームの提供を行っています。
任天堂「あつまれ どうぶつの森」
任天堂の「あつまれ どうぶつの森」は複数の人がオンラインで集まって遊べる人気ゲームですが、このゲームもメタバースに分類されます。ただしメタバースを意識して作られたわけではないので、他のプラットフォームほどの自由度はありません。
それでもメタバースを手軽に体験できるため、メタバースのイメージが湧かないという人は、ぜひ1度プレイしてみることをおすすめします。
メタバースの事業分野を把握しよう
メタバース事業には様々な事業分野があります。ここではそんな事業分野のうち、おすすめの事業分野を6種類ご紹介していきます。
プラットフォーム事業
メタバースは共通の大きなプラットフォームが1つあるわけではなく、SNSのようにいくつものプラットフォームができることになります。このプラットフォームを自社で開発することで、大きな収益を期待できます。
ただしプラットフォーム開発には大規模な投資が必要で、大手企業でないと参入が難しいでしょう。たとえば「エンタメ特化型メタバース」や「建築特化型メタバース」といった特化型のプラットフォームであれば、参入の余地があり、アイデア次第で人気のプラットフォームに育てることも可能です。
オンラインゲーム事業
メタバースとオンラインゲームはとても相性がよく、プラットフォーム内でも人気コンテンツになる可能性があります。すでにゲーム開発を行っており、運営ノウハウを持っているなら、メタバースで遊べるオンラインゲーム事業に参入しましょう。
「あつまれ どうぶつの森」のようにプラットフォームとなるオンラインゲームを自社で開発するだけでなく、有力なプラットフォーム内で遊べるゲームを開発するといった展開も可能です。
EC事業
すでに個人向けに販売している商品があるなら、バーチャル大丸・松坂屋のようにメタバース内で商品を販売するEC事業に参入するのがおすすめです。ただし、ECサイトのように商品を並べているだけでは収益アップにはつながりません。
メタバースであることを活かしたイベントを開催したり、商品の見せ方を工夫したりするなど、これまでにないアイデアが求められますが、利用するプラットフォーム次第で大きな収益アップを期待できます。
VR開発事業
メタバースに必要なVRゴーグルや周辺機器関連のアイテムを開発する事業です。MetaやAppleなども開発しているため、トップシェアを狙うのは難しいものの、良質なモデルを安く開発できれば収益アップにつながります。
メタバースの世界に没頭できるようなチェアや、VRゴーグルに使われる半導体製品など、幅広い分野での参入ができるので、モノづくりを行っている企業におすすめの事業です。
プラットフォーム内でのサービス提供
自社のサービスを、そのままプラットフォーム内で提供するという事業も考えられます。たとえば音声や映像といったデジタルデータを販売することも可能ですし、アバター用のアイテムを作って販売するというサービスも展開可能です。
自社の商品やサービスの強みを洗い出し、それらとメタバースをいかにして掛け合わせるかが、プラットフォーム内でサービスを提供する事業を行うときのポイントになります。
メタバース参入サポート事業
これからメタバースに参入したいという企業や個人に対して、参入をサポートする事業も今後必要となることが予想されます。イベント開催サポートや、暗号資産についてのノウハウ提供など、社内で持っている知識や情報がそのままビジネスにつながります。
自社の収益アップにつながるメタバース事業に参入しつつ、そこで得たノウハウを活用して事業化することで、より多くの収益につなげられます。
事業参入するときに知っておくべきメタバースの課題
メタバースは将来性もあると言われていますが、課題がないわけではありません。事業参入して「失敗した」とならないように、ここではメタバースが抱えている課題をご紹介していきます。
しばらくは投資が続き収益を生み出さない
メタバース事業に投資をしても、ほとんどの分野がまだ研究開発の段階にあり、何年経過すれば収益化できるのかが見えません。参入する事業によっては比較的早い段階で収益をあげられる可能性もありますが、「不透明である」というのが現状です。
いつになったらプラスになるのか見えないため、担当する社員も出口のないトンネルの中で仕事をしている状態になるので、疲弊しやすいという問題もあります。そうならないためには、全社で取り組んでいるというコンセンサスが重要になります。
流行らない可能性がある
現在はMeta社が大規模な投資をすると発表したため、話題性もあってマスメディアを中心に盛り上がっていますが、必ず流行るわけではありません。かなりの金額の投資を行ったのに、流行ることなく収益をあげられないまま撤退する可能性もゼロではありません。
そうなると投資したものがすべて無駄になってしまいます。メタバースは将来性が大きいだけに、期待値ばかり膨らんでしまいますが、実際には数年後にどうなっているかは誰にもわからないのだということをしっかり頭に入れておくべきでしょう。
法整備が間に合っていない
メタバースはまだ全体像が見えていないこともあり、法整備がされておらず、商取引などのルールがありません。法整備については徐々に動き出しているものの、現時点でOKとしたことが数年後にはNGとなるといった事態も考えられます。
現行のルールに従ってサービスを運営していたのに、突然のルール変更で積み重ねてきたメタバース事業のノウハウや実績がすべて無駄になる可能性もあります。メタバースに参入するときには、そのようなリスクがあることを忘れないように注意しておきましょう。
課題はあるけれど今のうちにメタバース事業を始めよう
メタバース事業は将来性が保証されているわけではなく、定着しない可能性もゼロではありません。流行らないとしているネット記事などもあり、流行るにしても何年後に収益がプラスになるのかもわかりません。
それでも今の段階で参入を決めることで、メタバースが定着したときに、一定以上のシェアを持ってサービスをスタートできるなど、大きな先行者利益を期待できます。メタバース事業で収益をあげたいと考えているなら、参入を先送りせず、できるだけ早い段階で事業をスタートさせましょう
▼メタバースの全般的な基礎知識については、こちらの記事で解説しています。あわせてご覧ください。
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